歯並びの相談に来る子どもたちを診ていると、口を開けたままぼーっとしていたり、寝るときに口で息をしている子が意外と多くて驚きます。お母さんやお父さんに話を聞いてみると、「テレビを見ているとき、いつも口を開けている」とか「夜になるといびきをかく」「発音が聞き取りにくい」「食べるときに食べ物がこぼれる」などの話がよく出てきます。
歯並びの相談に来る子どもたちを診ていると、口を開けたままぼーっとしていたり、寝るときに口で息をしている子が意外と多くて驚きます。お母さんやお父さんに話を聞いてみると、「テレビを見ているとき、いつも口を開けている」とか「夜になるといびきをかく」「発音が聞き取りにくい」「食べるときに食べ物がこぼれる」などの話がよく出てきます。
人間は、基本的に鼻で呼吸するのが自然です。生まれたばかりの赤ちゃんは鼻でしか呼吸ができません。口で呼吸するようになるのは、少し成長してからです。
鼻で呼吸すると、空気は鼻の中の通り道を通りながら、(1)ゴミやホコリが取り除かれ、(2)温度が体に合ったものになり、(3)湿度がちょうど良くなって、きれいな空気が肺に届きます。でも、口で呼吸をすると、この人間の体の「空気清浄機」や「エアコン」、「加湿器」を通さないため、例えば寒い冬には冷たくて乾燥した空気がそのまま入ってきてしまいます。これが体に良くない理由です。
また、口で呼吸するとき、人は下あごを下げて、舌が前のほうに移動し、頭が後ろに傾く形になります。もし、口で呼吸する習慣が続くと、顔の筋肉や骨に影響が出て「アデノイド顔貌」と呼ばれる特徴的な顔つきになり、かみ合わせにも悪影響が出ます。成長期に口呼吸をしていると、顔の見た目まで変わってしまうんです。
さらに、口呼吸は話すときや食べ物を飲み込むときの舌の使い方にも影響します。発音がはっきりしなくなったり、飲み込むときに舌で前歯を押してしまう癖がつくことがあります。このせいで、食事中に口を開けてペチャペチャ音を立てたり、発音が聞き取りにくい(特に「タ」行)ことに家族が気づく場合もありますが、その原因が口呼吸とはなかなか気づかないかもしれません。
口呼吸の原因にはいろいろなものがあり、例えば、ただの癖の場合もあれば、アレルギー性鼻炎や鼻の病気、喘息なども関係することがあります。いつも口が乾く、リラックスしても口を閉じて鼻で呼吸できないと感じる人は、一度耳鼻科で診てもらうと良いでしょう。
口呼吸は、口の中が乾きやすく、歯並びだけでなく、虫歯や歯周病、口臭にもつながります。鼻での呼吸は、お口の健康にも大切な役割を果たしているのです。