歯の損傷について
歯の損傷には、穴が開いたり、削れたり、磨り減ったり、欠けたり、ひびが入ったりするなど、さまざまな形態があります。こうした損傷は必ずしも痛みを伴うわけではなく、特に成人の虫歯は進行が遅く、長期間かけて徐々に進行するため、神経に達するほど深刻になっても痛みを感じないことがあります。
今回ご紹介する「アブフラクション」と呼ばれる現象も、そのように自覚症状がほとんどなく進行する歯の損傷の一つです。
歯の損傷には、穴が開いたり、削れたり、磨り減ったり、欠けたり、ひびが入ったりするなど、さまざまな形態があります。こうした損傷は必ずしも痛みを伴うわけではなく、特に成人の虫歯は進行が遅く、長期間かけて徐々に進行するため、神経に達するほど深刻になっても痛みを感じないことがあります。
今回ご紹介する「アブフラクション」と呼ばれる現象も、そのように自覚症状がほとんどなく進行する歯の損傷の一つです。
アブフラクションとは食いしばりや歯ぎしりが原因で、歯と歯茎の境目がくさび状に削り取られる現象です。
この現象は「くさび状欠損」とも呼ばれ、以前は主に歯磨きのしすぎによって生じると考えられていました。しかし、くさび状欠損には2種類があります。
確かに、歯磨き粉を多く使い、強い力で頻繁に磨くと、歯茎の境目にあるエナメル質が歯磨き粉の研磨剤で削られてすり減ってしまいます。このタイプのえぐれは滑らかにくぼみ、表面が研磨剤で磨かれて光沢があるのが特徴です。
一方、アブフラクションの場合もくさび状にえぐれますが、削れるというよりは欠けるように進行し、えぐれた部分が鋭角になっているのが特徴です。また、歯ブラシが当たらない歯茎の下まで影響が及ぶことがあります。
では、なぜ歯ぎしりや食いしばりでこのようなことが起こるのでしょうか?
一般に、歯ぎしりは歯の先端同士をすり合わせるイメージがありますが、力の強さは個人差があり、軽い力から非常に強い力までさまざまです。軽い力の場合は、上下の歯の先端がこすれ合い、歯の先端が磨耗します。
歯の先端はエナメル質が厚く、ある程度の磨耗には耐えられますが、強い力で食いしばりながら歯ぎしりをすると、歯が動かずに水平方向に揺さぶられることになります。このような強い力に対して、歯を支える骨が硬くなり、歯の根元をがっちり囲んでいることがあります。
その結果、歯ぎしりによる横揺れが歯全体ではなく、歯の頭部に集中し、歯の首部分である「歯頸部」に大きな力が加わり、少しずつ歯が欠けて剥がれ落ちる現象が「アブフラクション」です。
アブフラクションを引き起こす強い力で食いしばりながらの歯ぎしりは、一般的な歯ぎしりとは異なり音が出にくく、発見が遅れることが多いです。また、アブフラクションによる損傷は徐々に進行するため、痛みが出にくいこともありますが、場合によっては知覚過敏のような痛みを感じることがあります。歯茎の際に引っかかりを感じたり、痛みを感じたりした場合は、大宮いしはた歯科までご相談ください。