銀歯の寿命、どれくらい持つの?

銀歯の寿命、どれくらい持つの?

理事長 石幡 一樹
KAZUKI.ISHIHATA
日本補綴物学会 専門医

銀歯や金歯の治療後も引き続きケアが必要です

歯科治療において、患者様から「銀歯のところは治したので、もう大丈夫です」と言われることがあります。このような誤解を抱く患者様は少なくありません。多くの方が、銀歯や金歯、プラスチック、セラミックなどの修復物が付いた歯は、治療が終了した後は二度と虫歯にならないようにしているようです。しかし、これは間違いです。

歯にかかる負担とは

歯は、一日に約3回の食事の際に使用され、そのたびに60㎏から100㎏の力が咀嚼に使われ、毎日行われます。
さらに人によっては無意識に歯を食いしばったり、接触癖があったりします。寝ている時に歯ぎしりや食いしばりをしてしまう方もいらっしゃいます。

修復物は、それ自体歯と接着材で接着されています。しかし、口腔内は非常に過酷な環境であり、このため銀歯などの修復物は一般的に5年~7年の耐久年数となっています。

銀歯と金歯の耐久性の違い

銀歯は通常5年から7年程度の耐久性がありますが、中には20年以上持っていると考えられます。しかし、金歯の場合は20年以上問題なく機能することが一般的です。
私は、歯科医になってから金歯の中が虫歯になっている患者さんを見たことがありません。もちろん、金歯を入れていても、歯の根元が虫歯になることはありますが。

ちなみに、私の父も歯科医師でしたが金歯を入れていました。40年間問題はなかったと言っていました。

ですが銀歯をされていて外れてしまったと来院される患者さまの8割以上はその部位を診査すると虫歯の再発が見られます。
これは銀歯の耐久年数や限界であり、二次カリエスと言って歯科の再治療の中で最も多いのです。接着部が疲労し、その隙間から虫歯菌が増殖し再発していくのです。これは保険で行うプラスチックの治療でも同じです。最初は白くてきれいでも5~10年で黄ばんできます。さらに接着部から二次カリエスが発生し、さらに大きく削ってプラスチックを補うことを繰り返し、いずれ抜歯などの選択を余儀なくされます。

保険治療では歯科医の腕に差が出ない

結論から言うと、保険治療の材料では耐久年数が短く、確実に再発するので治療費も歯の傷み具合も大きく悪くなります。歯科医の腕のせいではありません。物理的な問題です。

逆に金歯やセラミックなどの自由診療の材質で補う補綴物(ほてつぶつ)は再発リスクが非常に低いと言えます。もちろんメインテナンスを歯科の定期検診とご自分のセルフケアを行うということが前提ではありますが、自由診療では歯科医の技術量も最大限に発揮できるため保険のそれとはまったく違うレベルと質と言えます。

神経を取らないことを優先すべき

銀歯の寿命|大宮いしはた歯科

虫歯が進行すると歯の根っこまで悪くなるので抜歯の可能性が高くなります。
保険治療を繰り返し、保険で根管治療を行い、最終的に歯が悪くなり抜歯をして入れ歯になると今度は離接する健康な歯にバネを掛けることになるので、いずれ両隣りの歯も悪くなります。
またブリッジという選択肢もありますが、隣の健康な歯を削って、読んで字のごとく歯と歯に人工の歯で橋を作るわですから、これもまた保険治療では長期になると合計3本の歯がダメになります。そうなると総入れ歯や大きな入れ歯の可能性も高くなります。

銀歯は安価で保険適用ですが、歯科医師から勧めるのは奥歯では金歯であり、目立つのが嫌であれば自由診療の丈夫な被せ物になります。
また、前歯なら見えるからという理由でセラミックを選択される方が多いですが奥歯は咀嚼という観点から言うと前歯よりもはるかに大切です。

長期的な視野と健康、咀嚼は一生ご自分の歯で「入れ歯は嫌だ」と思うのであれば奥歯にはお金を掛けたほうが良いと思う事がままあります。

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