歯周病の進行が非常に速い「ハイパーレスポンダー」について解説します。
歯周病は口腔内の細菌、患者さん自身の免疫力、口腔環境の三つの要因が相互作用して発症します。急激に歯周病が進行する患者さんは、この三つの要因に対して非常に敏感に反応するタイプであると考えられています。
こうした患者さんは「ハイパーレスポンダー」と呼ばれ、歯周病患者全体の約8%に該当します。
歯周病の進行が非常に速い「ハイパーレスポンダー」について解説します。
歯周病は口腔内の細菌、患者さん自身の免疫力、口腔環境の三つの要因が相互作用して発症します。急激に歯周病が進行する患者さんは、この三つの要因に対して非常に敏感に反応するタイプであると考えられています。
こうした患者さんは「ハイパーレスポンダー」と呼ばれ、歯周病患者全体の約8%に該当します。
「ハイパーレスポンダー」は、進行の早い歯周病である「侵襲性歯周炎」とほぼ同義で使われますが、「ハイパーレスポンダー」は進行が速い理由にまで踏み込んだ呼び名です。
ハイパーレスポンダーでは、例えば歯周病菌が産生するリポ多糖(LPS)が引き起こす炎症性サイトカインの反応が過敏になります。ハイパーレスポンダー由来の単球は、低いLPS濃度でも大量のサイトカインを放出し、急激な炎症と骨破壊が進行することがチャレンジテストで確認されています。
ハイパーレスポンダーの患者さんへの対応としては、歯周ポケットを除去して嫌気性菌を排除し、治癒を目指します。
症例としては、比較的若い患者さんで、年齢の割に口腔状態が悪く、強い炎症と極度に腫れた歯肉を持つ場合、ハイパーレスポンダーの可能性があります。こうした患者さんには、適切な歯磨きと歯周治療を行い、徹底的な清掃のほか、抗菌剤や歯周外科処置、再生療法などでポケットをなくす治療が効果的です。
このように、ハイパーレスポンダーであっても、適切な治療により歯周ポケットをなくせば、歯周病の進行を止めることができます。これは、ポケットをなくすことで炎症を引き起こす嫌気性菌が生息できなくなるためです。ハイパーレスポンダーの患者さんでも、しっかりと治療を行うと早く効果が出ることが最近明らかになっており、これはハイパーレスポンダーの患者さんにとって朗報と言えるでしょう。